~菜の花畑が一面に広がり 香ばしい油の香りが風に漂う~
♪ 菜の花畑に 入日うすれ 見渡す山のは かすみ深し
春風そよふく 空を見れば 夕月かかりて においあわし
皆さんご存知の、「おぼろ月夜」(童謡)1番の歌詞だ。
菜の花が春のやわらかい太陽の下で、あたり一面、黄色いじゅうたんのように咲く光景は息を呑むような美しさだ。日本人のまぶたに残る故郷の情景の一つだ。
しかし今では、川原の土手や一部栽培されている地域を除き、菜の花畑はあまり見られなくななった。
いつの頃から、こんなに少なくなったのだろう?
菜の花畑とともに、村には小さな菜種油(食用油)製油所があった。高度な機械を使わず、煎る、搾る、洗う、こすという手作業の工程で菜種油を作る。
村の製油所は、高度経済成長期とともに大企業の工場に集約され、1軒また1軒減っていき、今では日本全国でも数えるほどしかなくなった。
私の住んでいる地域に、菜種油を「圧搾法」で作る小さな製油所が奇跡的に残っている。
その工場の主Mさんは、とても90歳代とは思えないバイタリティのある人だ。
Mさんに、「おぼろ月夜」が小学校で歌われ始めた戦後の頃の製油所の営みを聞いた。