2013年10月19日土曜日

アメリカのデフォルト回避は朗報なのか?-政府民営化で起こること-

アメリカのデフォルトがひとまず回避された。

アメリカは連邦政府の債務(米国債の発行総額)に上限を定めていて、その設定を連邦議会に委ねている。上限額に到達すれば、連邦政府は新たな米国債発行ができなくなる。
2013年10月18日時点で、議会で債務上限の引き上げが決議されなければ、10月下旬には国の持つ資金がなくなって、債務の利払いおよび償還ができなくなり米国債がデフォルト(債務不履行)をおこす寸前という事態に陥っていた。

米国債がデフォルトすると全世界にその影響は計り知れないほど広がるといわれている。
米ドルの投売りが加速し暴落、銀行は倒産し、債券市場は崩壊、株式市場でも株価が半分以下に暴落する・・・余波がどの国にどこまで影響するか分からない。

日本は米国債権保有額が中国に続いて第2位で、他国が減らす状況のなか中国と競うように米国債権を買い続けている。
このため、影響をまともに受けることになるだろう。

10月18日、米国債務上限の引き上げが決議され、ひとまず危機は去った。
本当だろうか?


家計に例えると、明日の支払ができなければ破産する、という状況でとにかく支払をするために借金するということと同じだ。
収入がしっかりあって、うまくやりくりすると借金の返済ができるなら問題ないが、収入が減っていて、支出が増えている中で借金を増やしているとどうなるか?
破産したときの危機を大きくしているだけなのは当たり前だろう。

アメリカの場合、来年の1月いっぱいで国の資金がなくなり2月にはまたデフォルト問題が起こりそうだと言う。
あと4ヶ月の間、支出が収入を上回り続け、今回引き上げた債務上限いっぱいまで国債を発行しなければデフォルトになるというのだ。

どこまでこの状態を引っ張るつもりなのだろうか?

国が破産するとどうなるのか?このとき債務がより多ければどうなるのか?誰かが得をするのか?と考えると、少し見えてくるものがある。
(株)貧困大国アメリカ (岩波新書) の著者堤未果は、自治体の民営化によってグローバル企業の所有するところとなり、富める1%の者はますます富を得、貧しい99%の者はますます富を奪われることになるという。

アメリカの大都市デトロイトが2013年7月18日財政破綻を表明し、連邦破産法が適用される自治体となった。
デトロイトはアメリカの自動車産業の中心地であり、2009年にゼネラルモーターズ、クライスラーの破綻により急速に財政が悪化していった。
支出を減らして財政を立て直すため公共部門を削減していったが債務超過となり、ついに破綻となったのだ。
この間、企業の規模縮小や撤退によって貧困層が拡大し、警察、消防署など公共部門の削減によって治安が極端に悪化していった。
財政破綻の危機に陥っている自治体には、非常事態管理法によって選挙ではなく州知事に任命された危機管理人が乗り込んでくる。危機管理人は、債務を減らしバランスシートを良くする目的で、自治体の資産売却、労働組合との労使契約の無効化、公務員の解雇、公共サービスの民営化などを、一切の民意をとくことなく行使する権限を持つ。
デトロイトに危機管理人がやってきたとき、ウォール街は興奮するなか、市民や市の職員は大抗議デモを行ったがムダだった。
これからのデトロイトは、先に危機管理人によって財政再建された他の自治体同様、労働者の権利や年金、福祉、医療、教育、公共衛生といった、一般市民が得るささやかな権利が切り捨てられ、代わりに大企業に有利な労働条件の緩和や減税などが進められることになる。さらに公教育が民営化され、お金のないものはまともな教育を受けられなくなる。
富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなっていくのだ。

米国債務上限が引き上げられ続ければ、財政危機に陥る米国の自治体が増えていくことになる。
さらに米国債権を持っている国への影響も大きくなる。
日本の場合だと、米国の債権が増えれば増えるほど危機は増えると言うことになる。

逆に言うと、一部の投資家やグローバル企業は、破綻の危機が米国の自治体に広がれば広がるほど、日本や中国など米国債保有国の保有額が増えれば増えるほど、米国債がデフォルトしたとき、ハゲタカのように貪りついて大もうけする機会が増えるのだ。

現実に米政府を操っている者からすると、できるだけデフォルト危機を引き伸ばした方がいいということになる。

対岸の火事のように見ている人がほとんどだと思うが、アメリカで起こっていることは近いうちに日本でも起こる。
現政権はまさに、なりふりかまわずアメリカの現状を日本に持ち込もうとしているように思える。

参考
(株)貧困大国アメリカ (岩波新書)
       

0 件のコメント:

コメントを投稿